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法華経とは?

「法華経」とはどんなお経か?

「法華経」(フルネームは「妙法蓮華経」)は、大乗仏教の思想の真髄を余すところなく説き尽くしている教典です。

このお経の原形は二十一章(品)で、西暦紀元前後に西北インドで成立したといわれています。

現在私たちが読誦している「法華経」は原形の二十一章に、その後七章が加えられて二十八章(品)から成り立つ、鳩摩羅什(くまらじゅう)の漢文訳の経典です。

「法華経」の原典はサンスクリットで、経題を「サッダルマ・プンダリーカ・スートラ」といいます。

鳩摩羅什はそれを「妙法蓮華経」と漢訳したのですが、いずれにしても経題の名がきわめて象徴的です。

したがってこのお経の内容も象徴的で、有名な「法華七喩」という七つの譬喩をはじめ、随所に譬話(たとえばなし)が語られています。

「法華経」が比喩で語られているところが、キリスト教の「バイブル」や、儒教の「論語」などと全く異なる表現方法であることを知っておかないと「法華経」の内容を正しく理解できません。

バイブルや論語は随所に教義が説かれていますから読んでそれなりに理解できます。

しかし「法華経」にははっきりと教義とわかるような文章はどこにも述べられていません。

だから何か教訓を得たいと思って「法華経」を読むと失望するかもしれません。

「法華経」の読み方

新聞・雑誌や学術書・法律書などを読むように「法華経」の比喩の文字の字面だけを追って理解しようと思ったら、どんな学者でも「法華経」の思想を読みとれないのは明らかです。

私たちは、物事を客観的に見たり聞いたり読んだりする教育に慣らされてきました。

そしてその角度で経典に接する限り「法華経」から教えを得ることは困難です。

角度を変えるとは「法華経」を客観的に読むのではなく「法華経」を読むとは自分自身を読むことであります。

「法華経」とは自分であるということですから、自分が自分を読むのです。

「法華経」がむずかしいのではなく、この角度を変えるのがむずかしいのです。

「法華経」に同化し「法華経」になりきるのがむずかしいのです。

「法華経」の一般的な解釈は「法華経」二十八品を前半と後半に二分します。

前半の十四品は以下のとおりです。

序品第一

方便品第二

譬喩品第三

信解品第四

薬草喩品第五

授記品第六

化城喩品第七

五百弟子受記品第八

授学無学人記品第九

法師品第十

見宝塔品第十一

提婆達多品第十二

勧持品第十三

安楽行品第十四

後半は次のような構成です。

従地涌出品第十五

如来寿量品第十六

分別功徳品第十七

随喜功徳品第十八

法師功徳品第十九

常不軽菩薩品第二十

如来神力品第二十一

嘱累品第二十二

薬王菩薩本事品第二十三

妙音菩薩品第二十四

観世音菩薩普門品第二十五

陀羅尼品第二十六

妙荘厳王本事品第二十七

普賢菩薩勧発品第二十八

前半の第一品の「序品」から第十四品の「安楽行品」までは、この世に実在された肉身(応身)の釈尊のご説法であるとされます。

そして後半の第十五品「従地涌出品」から終章の「第二十八品「普賢菩薩勧発品」までは、法身(久遠)の釈尊のご説法とされます。

参考文献…松原泰道著「法華経人生論」

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