この世の中で、そのもの単独で存在するものはないという真理を
諸法無我といいます。
すべてのものごとは、そのもの単独で存在しているのではなく無数
の縁によって、縁に支えられて存在しているのです。
人は、一人で生きているのではありません。
計り知れないくらいたくさんのご先祖そして父母との縁に結ばれて
今の自分が生かされているのです。
生活するうえでの必需品、食品なども、それらの背後には、たく
さんの人々とのつながりがあり、ご縁によって生かされています。
この道理を諸法無我といいます。
人は一人では存在しえないことをつくづく感ずると、唯々感謝ある
のみです。
謙虚でなければ無我の道理を腹の底から理解することはなかなか
難しいですし、感謝の念もなかなか生まれてきません。
故松原泰道老師はおっしゃいました「仏教は苦労人の宗教である」
と。
苦労して辛酸をなめなければ仏教の奥義は解らないということを
松原泰道老師はおっしゃったのだと思います。
香遊 周戸克己