仏教の経典がわが国に渡来したのは、公的な記録によると西暦538年(552年説もあり)です。
般若心経が日本に伝来した年代については明らかではありませんが、梵字(サンスクリット)で、貝葉(植物の多羅樹の葉)に鉄筆で心経を筆写した、世界で最古といわれる「貝葉梵字般若心経」が、東京国立博物館・法隆寺宝物館に収蔵されています。
この心経は、609年に、中国から小野妹子(確証はない)らが、日本へ伝えたのです。
世界最古の心経の写本がわが国に現存していることは感動にあたいします。
心経は、執着心を去ることを説くというよりも、執着心を必要としないという根本の道理を明らかにします。
また、人間関係に大切な「和」も、たんに仲よくすることではなく、人間や事象との出会いの、本当の意味を見つめることであると教えます。
松原泰道著 「わたしの般若心経」より